2010年9月13日月曜日

『命と向き合うデザイン』 

 新・細胞シート工学−11



心臓の筋肉である心筋を構成している心筋細胞は,他の細胞と区別されます.それは他の細胞の多くが出生後も分裂し増殖するのに比べ,脳細胞と同様に出生後は増加せず減少するのみと考えられていたことに由来します.しかし,2005年にAmerican Heart Associationの学会誌にて報告された内容によってこの考えは覆されました.その報告は,骨髄細胞を心筋梗塞部に注入した結果,心筋機能が回復するというものでしたが、この発見によって心筋細胞の特異性は消失し,同時に心筋そのものは他の筋肉同様に回復可能なものであることが明らかになったのです.
ここまで心臓についてまとめてきたのは、特定の疾患に対する治療を述べる際に,その対象器官の概要を説明しておきたかったからでした。
新・細胞シート工学−4
新・細胞シート工学−5
心臓の機能や構造を考慮した上で,拡張型心筋症および心筋が壊死してしまった虚血性心筋症に対する治療方法をまとめます.従来は二つの治療法が適用されてきました.心臓移植と人工心臓埋込術です.歴史は人工心臓埋込術の方が古く,最初の実験は1957年に行われています.それから10年ほど遅れた1967年,世界で最初の心臓移植が南アフリカで行われています.それぞれのうち,特に人工心臓に付いて,詳説し,細胞シート工学の優位点をまとめます.

・南淵 明宏, 心臓は語る, PHP研究所
・小柳 仁, 心臓にいい話, 新潮社
・磯村 正, 治せない心臓はない, 講談社
・R.Bolli et al., J.Am. Coll. Cardiol., 46, 1659(2005)