2010年9月15日水曜日

『命と向き合うデザイン』 

 新・人工心臓−1



人工心臓埋込術は、人工的に製造された心臓を患者の胸部に埋め込む方法です。埋め込み方として、患者の心臓を完全に取り出して、空いた胸腔内に埋め込む方法と、患者の心臓は残したまま補助的な機器を心臓に取り付け、埋め込む方法があります。前者を全置換型人工心臓、後者を補助人工心臓と呼びます。現在、全置換型人工心臓は国内で使用できるものは開発が成功しておらず、いまだ開発が続けられています。一方、補助人工心臓はいくつかの製品が日本国内でも実際に臨床応用されていますが、生存保証期間が極めて短期間です。また、心臓移植手術および人工臓器埋込術の両方にかかる問題として、移植した生体への適合性に関するものがあります。他者の心臓や人工心臓を患者に埋め込む場合、受け入れる生体側で拒絶反応が起こることがあります。一般的に生体適合性の問題と呼ばれているが、移植手術自体が成功しても生体同士の適合性が低い場合、再び開胸手術を行い、臓器は取り出され、廃棄されることになります。このように心臓移植・人工心臓埋込術の双方に未だ問題はありますが、人工心臓の開発が成功した場合、心臓移植手術で生じている問題を全て回避することができるという点で、現在でも開発が行われています。何より、移植心を待ち望むということは、別な言い方をすれば、どこかで誰かの死を望むことと同様の意味であり、倫理面における精神的負担が計り知れません。

・南淵 明宏, 心臓は語る, PHP研究所
・小柳 仁, 心臓にいい話, 新潮社
・磯村 正, 治せない心臓はない, 講談社
・長山 雅俊, 心臓が危ない, 祥伝社
・桜井靖久: 医用工学MEの基礎と応用, 共立出版, 1980