2010年9月21日火曜日

『命と向き合うデザイン』 

 新・人工心臓−7



ポンプが体外に設置されるものを「体外設置型(体外式)」と呼び、体内、胸腔内にポンプを設置するものを「埋込式(体内式)」と呼びます。埋込式の中でもポンプのみを胸腔内に納め、制御部や電池部を携帯するものを「体内設置携帯型」と呼び、すべての要素を体内に埋め、経皮的に体内電池に充電するものを「完全埋込型」と呼びますが、完全埋込型で実用化されたものは未だありません。人工心臓に必要な5つの機構の中でもポンプ部は血流発生という点で重要であるばかりではなく、設計の困難性が高い要素という意味でも重要です。人工心臓に用いられているポンプの機構は主に2つに分類できます。一定量の血液を一定のタイミングで拍出する拍動型ポンプと、絶えず一定量の血液を流し続ける連続流型ポンプです。拍動型ポンプとは、空気圧などを利用してダイアフラムやプッシャープレートを移動させ、血液室容積の変化により拍動流を発生させる方法であり、血液の流入・流出部には、逆流防止弁が装着されます。一方、連続流型ポンプとは、インペラ(羽根車)やコーン(円錐)を高速回転させ、発生した遠心力・揚力によって、持続的に血液の移送を行う方法であり、無拍動流とも呼ばれます。人工心臓の開発が始められた当初は自然心の模倣として、拍動型から研究が始まりましたが、現在ではポンプ機能の効率が優れている点と、機器全体を小型することが容易であることから、連続流型の研究が中心になっています。

・南淵 明宏, 心臓は語る, PHP研究所
・小柳 仁, 心臓にいい話, 新潮社
・磯村 正, 治せない心臓はない, 講談社
・長山 雅俊, 心臓が危ない, 祥伝社
・桜井靖久: 医用工学MEの基礎と応用, 共立出版, 1980