2015年4月25日土曜日

『memorandum』     

 伝える



私は、中学高校と吹奏楽部に所属し、
大学ではオーケストラ部に入っていました。
楽器はずっとフレンチホルンでしたが、
大学2年生の時に、友人に誘われて、
練習の指揮を振ることになりました。

これが私にとって、とても大切な経験になったように思います。

そもそも、そんなことをするつもりはありませんでした。
友人が誘ってくれたから、
じゃぁ、やろうか、
というのが始まりです。
私は、下手の横好きで中高とやってきましたが、
レッスンを受けていたわけでも無く、
全て自己流でした。
もちろんテキストを見ながら練習をしたり、
先輩に教えてもらったことはたくさんありますが、
そうは言っても、専門家にきちんと習う、ということはありませんでした。
そんな私が指揮なんか振って良いわけ???
というのが最初の思いです。

ただ、折角誘ってくれているのに、
何の根拠もなく断るわけにはいきませんし、
彼がやりたがっていることはとてもよく伝わってきました。

そして、多分、私自身、本心から言えば興味があったのだと思います。

できるかどうか、
よりも、先に、
やってみたい、
人に何かを伝える・教える、ということが、
自分にできるのだろうか、
そんな想いが心の中にあったのだと思います。

先ほども書いたように、
私のは本当に下手の横好きです。
その歳まで8年間やってきたのに、
え?そんなものなの?
と言われてもおかしくないくらいの演奏しかできませんでした。

でも、逆に言えば、
そんな私にとって、曲を演奏するということはとても大変なことです。
つまり、「演奏が苦手な学生」にとって、
演奏がどのくらい大変か、ということを、
経験的に理解している、ということになります。

そして、レッスンに行っていない分だけ、
どうやったら演奏できるようになるか、
を自分で考えるようになっていました。
練習方法や考え方・曲の解釈など、
習うことで得られたものとは、
また別なモノを持っている、という自覚はありました。

誘ってくれた彼が王道で行ってくれるだろうから、
じゃぁ、私は覇道を行こう。

そう勝手に決めて、突き進んでいきました。